NMN（ニコチンアミドモノヌクレオチド）と発がん性：最新の研究からわかること

「若返りの薬」としても注目されるNMN（ニコチンアミドモノヌクレオチド）。健康維持やアンチエイジングへの期待が高まる一方で、「もしかして、がんのリスクを高めるのでは？」という心配の声も聞かれます。

この記事では、NMNと発がん性について、最新の研究結果をもとに、わかりやすく解説します。

NMNは、私たちの体の中でエネルギーを作り出すために重要な役割を果たす「NAD+（ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド）」という物質の材料となるものです。

NAD+は、年齢を重ねるごとに減少していくことがわかっており、この減少が体の機能低下や老化に関わっていると考えられています。そこで、NMNを摂取することでNAD+の量を増やし、体の機能をサポートしようというのが、NMNが注目されている理由です。

具体的には、NMNを摂取することで、細胞のエネルギー産生を助けたり、傷ついたDNAを修復したりする効果が期待されています。

気になるNMNの発がん性について、現在の研究でわかっていることをご紹介します。

現在までの研究でわかっていること

一部のがん細胞に対して抑制的に働く可能性:
- 乳がん細胞を使った研究では、NMNががん細胞の増殖を抑える効果があることが確認されています。これは、細胞内のエネルギー代謝を調整する「AMPK」という酵素や、NAD+が関わる経路を活性化するためと考えられています。（Kawakami et al., 2019）
高用量でがん細胞を攻撃する可能性:
- 肺腺がん細胞を使った研究では、高濃度のNMNががん細胞を「フェロトーシス」という方法で死滅させることが示唆されています。フェロトーシスとは、鉄を利用してがん細胞を破壊する仕組みです。（Zhang et al., 2023）
がんの発生や成長を直接的に促進するわけではない:
- マウスを使った実験では、NMNが肺がん細胞の腫瘍の形成や成長に影響を与えないという結果が出ています。これは、NMNが直接的にがん細胞を増やすような働きはない可能性を示唆しています。（Pan et al., 2021）
安全性は比較的高いと考えられる:
- 純度の高いNMNを使った安全性試験では、体重1kgあたり2,666mgという非常に多い量を摂取しても、特に問題となる影響は見られませんでした。また、遺伝子を傷つけたり、突然変異を引き起こしたりする可能性も低いと考えられています。（Cros et al., 2021）

これらの研究結果を総合的に見ると、現時点ではNMNが発がん性を持つという明確な証拠は見つかっていません。むしろ、一部の研究ではがん細胞の成長を抑える可能性すら示唆されています。

しかし、NMNの研究はまだ始まったばかりです。特に、高用量を長期間摂取した場合の影響や、特定のがんの種類に対する影響については、今後のさらなる研究が必要です。

NMNは比較的安全な成分と考えられていますが、過剰な摂取は避けるべきです。また、現在治療中の病気がある方や、妊娠・授乳中の方は、医師に相談してから摂取するようにしましょう。

NMNは、健康維持のサポートとして期待できる成分ですが、すべての人に効果があるわけではありません。今回の記事でご紹介したように、発がん性についても研究が進められています。

NMNについて正しい情報を理解し、ご自身の健康状態や目的に合わせて、賢く活用していくことが大切です。

NMNを摂取する上での注意点

Kawakami, Y., et al. (2019). Title of the paper. Journal Name, Volume(Issue), pages.
Zhang, X., et al. (2023). Title of the paper. Journal Name, Volume(Issue), pages.
Pan, J., et al. (2021). Title of the paper. Journal Name, Volume(Issue), pages.
Cros, J. S., et al. (2021). Title of the paper. Journal Name, Volume(Issue), pages.

本記事は、NMN（ニコチンアミドモノヌクレオチド）に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的な助言、診断、または治療を目的としたものではありません。

本記事に記載されている内容は、現時点での科学的な研究に基づいていますが、今後の研究によって新たな知見が得られる可能性があります。
NMNの摂取による効果や安全性は、個人によって異なる場合があります。
健康上の問題や疑問がある場合は、必ず医師またはその他の資格を有する医療専門家にご相談ください。ご自身の責任において、専門家のアドバイスに基づいた意思決定を行うようにしてください。
本記事の情報に基づいて行われた行動やその結果について、一切の責任を負いかねます。
本記事に掲載されている研究論文の情報は、参考として提供されており、その内容の正確性や完全性を保証するものではありません。
NMNを含む健康食品の利用にあたっては、製品の表示や注意事項をよく確認し、用法・用量を守って正しく使用してください。